東京高等裁判所 平成10年(く)87号 決定
<3>決定書に記載された要保護性についての理由の一部を省略して少年に決定を告知したのは、少年の健全育成の精神に反し、少年審判規則三条一項に反し、ひいては憲法三一条に違反するというのである。
《中略》
<3>について検討すると、保護処分の決定の言渡し方法については、少年審判規則三条一項に「決定を告知するには、審判期日において言い渡さなければならない。」と規定されており、また、少年審判規則三五条一項に「保護処分の趣旨を懇切に説明し、これを充分に理解させるようにしなければならない。」と規定されているにとどまり、決定書に記載する事項を全部告知すべきものとされていないばかりか、通常の刑事裁判の判決の告知について「判決を宣告するには、主文及び理由を朗読し、または主文の朗読と同時に理由の要旨を告げなければならない。」(刑訴規則三五条二項)とされているような規定も置かれていない。これは、少年の保護処分の性質上、審判廷で詳細な理由を告知することが必ずしも望ましいこととはいえないため、決定の結論である主文を告知し、その余は裁判官の裁量に委ねる趣旨であると解される。そうすると、附添人が主張するとおりの告知方法がとられたとしても、そこに少しも違法違憲はないというべきである。
(香城敏麿 北島佐一郎 平谷正弘)